Last Day of Juneのプレゼントの中身は何だったのか

Epicストアで無料セールをしてたLast Day of Juneというゲームがある。ジャンルとしてはパズルゲームに当たるけど、パズル要素は薄くほぼ一直線で、考えれば誰でも解けるというレベルだ。

ではなぜこのゲームを今回紹介しようと思うかというと、それは、ストーリーが素晴らしく神ゲーと思うからだ。無料期間は終わってしまったが、ぜひ購入してでもやってみてほしい。あるいはおれのプレイ動画を見てもよいだろう。トータルで3時間ほどでクリアしてしまった。

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ストーリーの概要

ストーリーの概要を話す。

Last Day of Juneというタイトルから、6月の最後の日という意味かと思ったが実際には「ジューンの最期の日」という意味だ。

小さな村にカールとジューンという恋人が住んでいた。(あるいは結婚してるかも知れない。それすらもわからなかった)その小さな村には他にも、小さな子供、金髪の女性、金持ちの男、じいさんが住んでいる。ある日、カールとジューンは美しい湖のほとりでデートをしていた。ジューンがプレゼントをカールに渡すと、突然雨が降り出す。二人は慌てて車に戻り、自宅に車を走らせる。その時、事故に遭い、ジューンは死亡。カールは車椅子になってしまう。

ゲームは、カールがジューンの絵のもつ不思議な力に気づくところから始まる。ジューンの書いた村人の絵を触ると、事故当時のそれぞれの村人になり、過去の行動を変えることが出来ることが出来た。カールは、ジューンの事故は村人の行動を変えることによって回避出来ることを理解した。

ジューンの事故はもともと、道路に飛び出してきた男の子を避けようとして起こったものだった。その男の子は道路に転がっていってしまったサッカーボールをとりに行こうとしていて、それを避けようとしたことで結果として車の事故を起こしてしまったのだ。従って1章ではこの男の子の過去を変えて、サッカーではなく凧揚げをして遊ぶようにすればクリア出来る。

しかしそのようにしても、2章では、金髪の女性が村から出ていく車から荷物が落ちて、それが原因でやはりカールとジューンは事故に遭ってしまう。従って、今度は荷物が落ちないようにする。このためには、男の子が凧揚げに使ったロープが必要である。従って、男の子の過去を再度書き換えてサッカーで遊ぶようにして、金髪の女性はロープを使って荷物を縛るようにする。こうすると不思議なことに、男の子のサッカーボールは道路に転がり落ちてしまうが、サッカーボールを拾おうとしている男の子を金髪の女性がクラクションで除けることが出来て、結果としてカールとジューンは事故を起こさずに済む。

このように、それぞれの過去を矛盾がないように書き換えて、全体として事故が起こらないようにするのがこのゲームの目的である。

この要領で、3章で金持ちの男の人生を書き換えて事故が起こらない世界にたどり着くことが出来たかと思ったが、無慈悲なことに、やっぱり車は雷が原因で事故を起こしてしまうことがわかった。

雷を止める方法はない。どのように過去を書き換えても結局ジューンは死ぬという絶望的な結果にたどり着くことを悟ったカールは、ある方法によってジューンを救うことにする。それが、代わりに自分が死ぬという選択であった。雨の中車で帰る時、仮に運転するのが自分ではなくジューンだったら、死ぬのは自分であり、ジューンは生きているという世界にたどり着けるのではないか。

エンディングについては言葉では説明出来ないから、私の最終回動画を見てほしい。最後の方だけでいい。以下では、エンディングについて知ってることを前提に話をする。

プレゼントの中身は何だったのか

Last Day of Juneでは、登場人物は言葉を話さない。それがプレイヤーの想像力を掻き立てる。明示的なストーリーはほとんど語られず、例えば金髪の女性が村を出ていった理由なども全くわからないし、小さな子供に親がいない理由もわからない。兄弟がいたことはわかるが、それが今いない理由もわからない。これら伏線らしき設定は、一切回収されない。

そうした謎の多いゲームの中で、もっとも議論されているのは「あのプレゼントの中身は何だったのか」だ。私は当初、新しいメガネかなんかだと思っていた。理由は、プレゼントを渡してきた老人はものつくりが得意なようだったし、メガネはカールのトレードマークだからだ。エンディングでカールにそっくりなジューンの子供がつけていたメガネが、カールの形見という設定なのではないかと想像した。

しかし、世の中には私を遥かに超える想像力のある人がいるようで、今回は彼の仮説を紹介したい。これをNateの仮説と呼ぼう。

Last Day of June – Figuring Out The Game's Ending

Nateの仮説

彼の仮説はこうである。実は現実の世界でも生きていたのはジューンであった。つまりエンディングの世界が、現実であった。

ジューンは事故でカールを失った。このゲームは、この悲しみを受け入れられないジューンの精神世界での中の話というわけだ。もし自分が死んでいたらカールはどうしただろうか。

そこではジューンが死に、カールが生きていた。しかしカールもやはりジューンを失った悲しみを受け入れることが出来なかった。上述のとおり、ジューンの絵に不思議な力があることを発見したカールは、ジューンを救うためにあがくが、結局虚しくジューンが死ぬことは避けられないことに気づいてしまう。そして、自分を犠牲にしてジューンを救う世界を選ぶ。

つまり、ジューンが気づいたことは、結局自分が死んだ世界を妄想したとしても、結局カールは自分を犠牲にしてジューンを生かす未来を選択してしまうということ。現実は変えられないということだ。ということだ。それは死んだカールの愛に再度触れるという瞬間でもあった。

カールがプレイする世界がジューンの精神世界であることは、カールがジューンのスケッチブックを覗いた時にジューンが「村人たちがどういう過去を選択していればカールは救われただろうか」を妄想している痕跡を見るシーンからも根拠を得ることが出来る。

では一体、プレゼントの中身は何だったのか。Nateの仮説では、「妊娠をカールに知らせるなにか」としている。それは子供用の遊具かも知れないし、洋服のようなものかも知れない。

エンディングにおいて、天国らしき場所でカールがジューンに会ったシーンで、カールはプレゼントを開けている。そして中身を見た瞬間にうつむき、泣いている。ジューンの中に子供がいたことを知り、死んだことへの後悔が溢れ出たのかも知れない。

ぜひ、プレイしてほしい

Last Day of Juneは描写が非常に深いゲームで、この記事では読者に出来るだけわかるように努力はしたつもりだけど、3割程度しか伝えられている気がしない。あのプレゼントの中身は何だったのか。もし真に興味がある場合は、ぜひ自分でプレイしてみてほしい。

Last Day of Juneのように、不幸な過去を書き換えるために何度も過去に戻ってやり直すけど結局うまく行かないというストーリーを映画化したものに「バタフライエフェクト」という映画があります。もしあなたがLast Day of Juneに興味があるならば、こちらの映画がオススメです。