エイムを2つの要素に分ける

何かをうまくなりたいと思った時、考え方は2つある。1つは、そのもの自体をうまくなるように考えること(大域解)。もう1つは、そのものをいくつかの要素に分解してそれぞれをうまくなること(局所解)。

ある程度複雑なものを対象とする場合、通常は後者を選ぶ。例えばバスケットでも、うまくなりたいと思ったらドリブルだけを練習したり、シュートだけを練習したり、そう言った地道なトレーニングが必要となる。試合ばかりをやっていればうまくなれるかというと、それはあり得ない。

なぜ、局所解を求めるのが良いかというと、1つは複雑なものをそのまま解析することが難しいということ(例えば、バスケットがうまくなると言うのは獏としすぎている)だが、その裏返しとして、小さなものは解析がしやすいということが言えるからだ。例えば、シュートの技術は細かく解析されていて、善悪の判断もしやすい。また、小さなものは基礎的であるため、他のものにも応用しやすい。例えば、バスケットで足の早い人が陸上に転向した例や、ジャンプ力がある人が高跳びに転向した例がある。

この局所解をとことん突き詰めていったのが、ボディコントロールである。つまり、身体を思ったとおりに動かせればどんなスポーツでもするに習得出来るに決まってるというわけだ。なぜおれがエイムにこれだけこだわるかというと、これがFPSの基礎であり、仮にゲームを移る場合でもエイムだけは引き継がれるからである。エイムはFPSにおけるボディコントロールのようなものだと言える。

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さて、エイムをうまくなりたいと考えた場合、多くの人はエイムをうまくなりたいとだけ考える。だから、ひたすらbot撃ちをやったり、あるいはデスマッチなどで撃ち合いを鍛える。センシ合わせも、壁撃ちをしてなんとなく思ったところに撃てるからという理由で決めていく。 (参考: Kenki法 https://www.youtube.com/watch?v=xbC8NG3YDqk )しかし上に述べたとおり、エイムという結果を考えるのではなくエイムを複数の要素に分解して考えてしまう方が遥かに向上が容易であり、その結果に再現性が高まる。再現性というのはそのまま、教えやすさと言い換えてもよい。

最新のエイム講座で、銃を捨ててナイフで揺れる方が良いという話をしたが、あまりに味気ないためエイムを2つの要素に分解するということも話した。

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要素とは

  1. 視界の移動と自分のフィーリングを合わせる
  2. 対象を正確に見る

の2つである。1つ目は揺れることによって良いセンシを見つける・よりフィーリングを合わせることが可能であり、2つ目はゲームに依らず日常生活から訓練が可能である。こうやってよりシンプルな2つの要素に分解してしまえば、それぞれを訓練することは簡単であり、善悪の判断が楽になる。特に、動きをよりゆっくりなものに帰着出来たことが大きい。瞬時にマウスを動かして合わせるというKenki法では、測定自体に誤差が入りやすくなる。しかしKenki法では、マウスをゆっくり動かしてしまうとあまりにも簡単すぎるため何の判断も出来なくなるのだ。つまり、マウスをゆっくり動かすけどそれなりにシビアな調整が求められることになり、それが左右に揺れるということなのである。

日本FPS界はむちゃくちゃだと感じている。KUNは振り向きによってゲーム間のセンシを合わせることを推奨している。しかしより正しいのはView speedかMonitor distanceである。FOVを無視した議論は意味をなさない。Kenkiは壁撃ちのような不安定なものによってセンシを合わせることを推奨している。この方法は博打のようなものである。ある人はたまたま良いセンシに出会えてスキルキャップが高くなるかも知れないが、そうでない人も出てきてしまう。おれはこの現状が大変悪質だと考えていて、例えば理工学分野のようにきちんと整備されるべきだと考えている。

だから、エイムについて少しでも貢献出来ればと思い、動画を作っているのだ。KUNやKenkiには出来ないことだから。