センシ調整はゲームが終わったあとにしよう

センシ調整によく使われるボット撃ち。このボット撃ちをしながら、なんとなくクロスヘアの動きが遅い気がして、もう少し高くした方がいいなとか低くした方がいいなという考えになって、センシを調整してマッチメイキングに行って、エイムがトロールするという経験は誰しもしたことがあると思う。

この原因は、身体がウォームアップされていないからだと考えている。ここでいう身体というのは、脳からはじまり、目、指、手首などエイムに関わるすべての身体的パーツであり、これらをきちんとウォームアップさせるのに一番いいのは、実際に撃ち合って見ることだと思う。実際の撃ち合いには、単にクロスヘアの平面上の移動だけでなく、ストッピング、アングル、ピーク、当然現れた敵への反応などあらゆる要素が関わってくるから、これらの要素が一切ないボット撃ちをいくらしても、実際の撃ち合いをするためのウォームアップには不十分である。

ボット撃ちをしていても強くはなれないという言説があるが、これは、ボット撃ち自体が実際の撃ち合いの要素をすべて含んでいないから、結果としてこれに最適化しても、実際の撃ち合いに強くならないどころか弱くなると考えれば理解が出来る。ボット撃ちをすると、ボット撃ちはうまくなるから、うまくなってはいるのだが、それは実際の撃ち合いとはベクトルがずれているため、センシの最適化も間違ってしまうというわけだ。ただ局所的にはボット撃ちの要領で撃って嵌ることもあり、それが勘違いさせる要因となる。私は、1000時間ほどボット撃ちをしてみた結果、止まっている相手への武器ごとのリコイル練習や、遠距離へのタップ撃ちとか、AWPのフリック練習などではボット撃ちは意味があるが、それ以外では役に立たないと思うようになった。もちろん、競技としては確立されているから、KPMで争うのは何の問題もないのだが。

デスマッチでのウォーミングアップを好む選手が多いのも、これが理由だと思う。

以上を議論から、ではいつセンシを調整すればいいのかというと、それは、実際に撃ち合ったあとだと思う。実際に撃ち合うと、自分はこのくらいマウスを振った時にこのくらい視点が動いてほしいという感覚が温まる。だから、マッチメイキングやデスマッチなどをしばらくやったあとに、ボット撃ちをしてみると、ボット撃ちでウォーミングアップした時は良いと思ったのに、自分が思ってるよりクロスヘアが動かないとか、そういう感覚を得られると思う。どちらが正しいかというと、撃ち合った後の感覚の方が正しい。より正確には、その感覚を正としなければいけない。

私の場合、往々にして、ボット撃ちだけでセンシを決めると、センシが遅くなる。なぜならば、ボット撃ちは、最初から敵が見えているし、ゆっくりと合わせる余裕があるからだ。だから、きれいに合わせられる低センシが良いと思ってしまう。しかし、実戦にいくと遅いじゃんということが良くある。あなたにも心当たりがあるのではないか。自分の思ってるより低いセンシで合わせに行こうとすると、無理にマウスを振ることになるから、却ってエイムがおかしくなる。ローセンシの分の優位が吹き飛ぶくらいエイムが悪くなる。

ゲームをしたあとに、クールダウンも兼ねてボット撃ちをし、そこで自分の感覚が正しいかということを、ボット撃ちという静的な場で再確認し、その感覚を持ってセンシ調整をするというのが正しいと思う。