PSAメソッドと二分探索

PSAの普及

最近、私のブログや動画がPSAというワードで検索されることが多いです。 ツイッターでぐぐっても、PSAについて着目している人が見つけられるようになりました。

大変うれしいことです。

PSAメソッドでぐぐると現在ではこのブログが最上位に出てきますし、 私が、PSAメソッドを日本の多くのプレイヤーに広めたというのは、間違いありません。

重要な理論なので、 本来ならもっと早い段階で別の誰かによって広められているべきだとは思いますがそうはなりませんでした。 もちろん、うまいプレイヤーは全員、この方法を感覚的には知っているのですが、 それをうまく言語化・体系化出来なかったり、隠蔽体質であったり、 結果として日本の競技者というのは今も昔もあまり発信をしない傾向にあります。

PSAはトレーニング法ではない

しかし、一点だけ残念なことがあります。 それは、PSAメソッドが「トレーニングの方法」だと思われていることです。

実際に、クロスヘアを一点に固定しながら左右に動くというのは、 FPSにおいてもっとも重要な動きであり、これがいかに無理なく出来るかが 角に突然敵が見えた時の撃ち合いの強さでは大きな要因になりますし、 そもそもトラッキングエイムというのはクロスヘアを張り付かせることですから、 PSAと同じことなのです。自分が動いてるか相手が動いてるかの違いでしかないからです。

ですから、PSAメソッドをやることによって、 エイムがよくなるというのは事実なのです。 特に、今まで何も考えてこなかった人にとっては、 ものすごくうまくなってしまう場合もあります。 それは、うまくマウスをコントロールするテクニックが上達することでもありえますが、 クロスヘアを固定しながら動くことが癖になることでも上達しえます。

CSGOのScreaMなどでも、エイム練習ではPSAを行っているのです。 これを身体に染み付かせることが、トップレベルのプレイヤーでも大切なことだと知っているからです。

アマチュアであればなおのこと、上達に貢献するでしょう。

PSAはセンシ発見法である

では、PSAは何なのかというと、センシの発見法です。

PSAというは、Perfect Sensitivity Approximationの略なのですが、 これは日本語に訳すると「完璧なセンシの推定法」という感じになります。

つまり、自分にとって最高のセンシを発見する方法なのです。

私は、センシ変換法についてもこのブログで書いてきましたが、 今は、センシ変換法は目安に過ぎず、結局ゲームごとにPSAによってセンシを決めるのが一番で、 大切なのは、クロスヘアを張り付かせる感覚を移植することなのだという考えです。 つまり、どのゲームをやったとしても、同じ感覚でPSAをすれば、自然とセンシは決まるでしょうというのです。

そのためには、PSA自体にうまくなるというのも重要なことです。 ゲーム固有の要素(キャラの移動速度)などに惑わされず、どこでも同じ感覚でPSAが出来るようになれば、 どのゲームでも自然と、やりやすいセンシが見つかる理屈です。

なぜPSAでセンシが決まるのか?二分探索を知ろう

ではなぜ、PSAによって最高のセンシが発見出来るのか?

これを理解するためには二分探索という数学的手法を理解する必要があります。

中学では、関数というものを習うと思います。y=f(x)と書くことにします。 これは、xを入れると何か計算してyを返してくれる関数です。

仮に二点x1とx2(x1<x2)をとったとします。 この時もし、f(x1)<f(x2)であったとするとこの関数は「単調性を持つ」と呼ばれます。

こういう関数に対して二分探索を使い、何かしらの境界を見つけることが出来ます。

二分探索というのはちょうど、辞書を使って前に行ったり後ろに行ったりを繰り返して、 自分の調べたい単語を探すのに似ています。 人間は教わらずとも自然と二分探索をしているのですから、驚くべきことです。

もし数値計算で「ニュートン法」というものを習った人がいたら、 それはまさに二分探索です。

幸い、どのゲームのセンシも、この単調性を持っています。

つまり、センシを高くすれば視界の移動速度も速くなります。 必ずしも、センシの値を2倍にすると視界の移動速度が2倍になるゲームばかりではないですが (CSGOやOWなどはこの性質を持っていますが、PUBGやFortniteでは違います)、 センシを高くしたのに視界の移動速度が遅くなるゲームは存在しません。 つまり、単調性を持っています。

だから、どのゲームでもPSAメソッドによってベストなセンシを見つけられることが 保証されているのです。

PSAは万能ではない

もちろん、PSAによって見つけたセンシが本当にそのゲームにおいて最善かということはわかりません。 例えば、エイムゲームでリフレックスエイムをするのであれば、そこにはPSAの要素は存在しません。 OWのようなゲームでも、キャラによっては意味をなさないものもあると思います。

しかし多くの実戦的なゲームでは、クロスヘアを一点に定めながら動くというのが基本であり、 PSAがあまりに乱れていると、撃ち合いが安定しないことになります。 CSGOはもちろんですが、BFやCoDなどもそうだと思います。

従って、どのような場合においても、PSAを使ってセンシを探すこと自体には意味があり、 そこからよりプレイしやすいセンシを探せばよいのです。 間違いなく、PSAで見つかったセンシから2倍高いセンシとか、そういうものにはたどり着かないでしょう。 しかし実際には、そういうあり得ないハイセンシでプレイしている人は多いのです。

PSAは万能な方法ではないと思いますが、明らかに誤ったセンシを選ばないようにするという点では、 価値があるといえます。